Highway of Night (Act.13)

 事故現場を抜けると渋滞は無くなりスムーズに進める事ができるようになり、加速してこの首都高を攻める事でさえもできる程になった。S字カーブが迫るとサイドブレーキで後輪を一時ロックさせ、あとはパワースライドで150キロというスピードを維持したままドリフトで曲がり通り抜ける。ケイの表情はとても楽しそうだった。

ケイ:首都高っておもしれーな。峠の走り屋なんて辞めて首都高をホームにしよっかなー。
マイ:・・・それわダメ。ケイわ箱根の有力な走り屋なんだよ?ケイが居なくなったらうちらの箱根をどーするの?

マイはケイの何気無い一言にマジになった。

ケイ:うそうそ、冗談だよ

走り屋もヤクザと同じでそれぞれのシマを狙い合う。従ってそれぞれの「キング」や「ナイト」が狙われる。マイがマジになるのはケイが箱根の有力な「ナイト」であり、同じ箱根の戦友だからでもある。

ケイ:だって俺わ箱根の「ナイト」だもんなー笑
マイ:自分で言うんだ。

銀座のトンネルを抜け、レインボーブリッジに入った。マイは窓から外の夜景を眺めた。
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マイ:きれーい。
ケイ:だな。

夜景を眺めているとレインボーブリッジの端まで来てしまった。有明JCTを曲がり湾岸線に入る。合流した途端にケイはアクセル全開で飛ばす。

マイ:ひゃっほーい!笑笑

マイが壊れた。Gの影響か、それよもハイスピードの影響かは不明だが、脳みそのどこかがバグって、リミッターが外れた。

ケイ:(マイが壊れた・・・。)

しかしケイはお構いなしにアクセルを踏み続ける。速度は200キロを越した。

マイ:峠ぢゃーこんなの無いね!
ケイ:だろ?

お台場の巨大な球体を担いだテレビ局の前を通りトンネルに入る。

マイ:あはははははは笑笑
ケイ:え・・・?

ケイはいきなり笑い出すマイにビビりながらもハンドルとペダルに集中する。速度は300キロに達した。ハンドルを掴むケイに対して、何も掴んでないマイはGに押されてパケットシートにたそがれる。

マイ:やっぱ峠ぢゃーこんなの無いね!

マイは大事な事なので感想を言った。だが、ケイは何も返さない。いや、いきなりイカれたマイに驚いて返せないのだ。加速は305キロくらいで上がらなくなった。マイはそれを示しているスピードメーターを遠くから覗いた。

マイ:これが限界?
ケイ:まーな。

マイがまともな発言をしたから、ケイが返せるになった為にコミュニケーションが復活した。

お台場のトンネルを抜けるとブレーキを踏み、一気に3桁から2桁に減速する。そして、トンネルを抜けてすぐの大井PAの入口に入る。

ーつづくー