Highway of Night (Act.17)


 翌日、まず3人はケイとマイの地元である神奈川県内の中古車販売店を当たってみる。そこはごく平凡なところで軽自動車やハイブリッド車など一般人にお勧めの車が目立つ。

ケイ:金わあるよな?
二階堂優香:ある程度はあるわ。
ケイ:ある程度ってどんくらい?
二階堂優香:予算は3000万円以内がいいわ。
ケイ:充分過ぎだろ。それわ。
マイ:あんたにはこれなんていいんぢゃない?

マイは二階堂優香にインサイトを勧める。
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マイ:低燃費でエコぢゃん?首都高とか走るの止めてこれで街中をドライブしたら?

ま  た  は  じ  ま  っ  た  。

二階堂優香:貴方こそ、運転しているところを見た事ないのだけれども、免許も持ってないのかしら。それで言える口かしら。それだったら自転車で楽しく走ったらどうかしら。維持費も掛からないわ。
マイ:は?免許あるし。R33乗りだし。何も知らねーカスがほざくんぢゃねーぞ?
二階堂優香:R33と言うと・・・あぁ、R32より車体が大きくなっただけで加速しないGT-Rの失敗作でもあり、日産の恥。そんな車にしか乗れない貴方は、可哀相に。笑
マイ:だから何も知らねーくせに語るんぢゃねーよ!オメェ乗った事ねーだろ!
二階堂優香:ええ、乗った事ないわ。そんな失敗作なんかに乗っても面白くもないし、時間の無駄。あまりにもつまらな過ぎて事故を起こしてしまうかもしれないわ。
マイ:あ"ぁ"?オメェのエンジン移植するベース探す方が時間の無駄だし。調子乗んな。黙ってインサイトにでm
ケイ:うっせーんだよ!!

ケイは2人の頭を両手でチョップした。

マイ&二階堂優香:痛っ!
ケイ:テメェら何しに来てんだコラァ・・・。
マイ:ご、ごめん。
二階堂優香:・・・。

今度こそは真面目にスポーツカーを探す。

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マイ:これわ?軽くて早いよ。
ケイ:確かに車重わ800kg台だけどエンジンが入んなくね。
二階堂優香:エンジンが入るスペースか・・・。

3人はディーラーの車を一通り見た。そして1台の車が候補に上がる。

ケイ:これだったら入るんぢゃね。俺これのトミカ持ってた笑
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二階堂優香:Z32・・・確かヘッドライトはディアブロGTが流用していたわね。
ケイ:どーよ?
マイ:オメェにわもったいn

ケイはマイの前頭部に拳骨を喰らわせて黙らせた。

二階堂優香:悪くはないわ。でも他のディーラーも見たい。
ケイ:おーけー。

次に3人は同じく神奈川県内のポンコツ屋に移動する。

二階堂優香:何ここ?ガラクタだらけじゃない。

そこは車のボディが積み上っていたりボンネットやトランクやドアなどで成り立つ山があったりしている。決して綺麗な光景ではない。しかし、エンジンやターボチャージャーだけは丁寧にコンテナの中で並べられている。普通に見ればただのゴミ処理場だが、使えるパーツが見つかれば低コストで手に入る為、チューナーにとってはこの城は「宝箱」だ。

マイ:ボディを見つけて1から組み立てるのもありだね♪
ケイ:そう!
二階堂優香:まぁ、それもありなのかもね。

早速、発掘作業に取り掛かる。

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マイ:なんか色々あんぢゃん笑
ケイ:えーと、FC3Sに、ブルーバードと?あと・・・
マイ:あ、S30Zぢゃん♪ それで狂おしく、身をよじるように走ったr
ケイ:止めろ。そのファンの皆様に潰される。ただでさえ、それと配達のついでに峠を攻める豆腐屋物語を混ぜた内容なのによー。余計にパクリとか思われるぢゃん?
二階堂優香:貴方が「豆腐屋物語」を出した時点でさらに悪化したと思うのだけれど。
ケイ:まーこまいのわいいぢゃん?
二階堂優香:細かくないし、だいたい貴方たちh
ケイ:あれ?向こうにもいいもんあんぢゃん。
マイ:ホントだー♪
二階堂優香:・・・まだ話は終わってないのだけれど。

ケイが指差す方にはまたFC3Sがあった。

マイ:えー?またFCー?
二階堂優香:でも、よく見たら・・・。

廃車だからボロボロに割れたり欠けたりして替えるしかないが、R-magicのフルエアロやGTウイングが着いている。ブレーキはEndlessのブレーキ、さらにブレーキの上を覗いてみるとHKSの競技用サスペンションも着いていた。

ケイ:すげぇ・・・足回りすげぇよ。
マイ:まぢだわ。まだ使えそうぢゃない?
オッサン:そのFC、最近来たばっかなんだよ。

作業員のオッサンがこちらに来る。

マイ:て、事わ最近事故ったばかり?
オッサン:それは違うみたいだ。事故を起こしたのは今から4年前だそうだ。
ケイ:結構いじってたみたいだけど?
オッサン:あんたら白井香を知らないのか?
マイ:白井香って・・・
ケイ:事故で死んだらしいけど神奈川県最強とか言われた女ドライバーだったっけ。
オッサン:そいつのFCがこいつらしい。
ケイ:は!?
マイ:嘘!?
二階堂優香:へぇ・・・決めたわ。私これにする。
ケイ:だな!
マイ:でも死んだ人の・・・
ケイ:マイ、幽霊とか信じてんの?笑
二階堂優香:性能的にも良さそうだしね。私も幽霊のような非科学的なものは信じないから。
ケイ:決まりだな。
二階堂優香:このFC幾らかしら?
オッサン:まぁ、スクラップにする手間も省けるし、お姉ちゃん綺麗だから5万円でいいよ。
ケイ:よっ、イケメン!
オッサン:ガハハハハ!
マイ:・・・あのZ32わ?
二階堂優香:FCの方が軽いし
マイ:・・・。

この軽くて調子に乗った決断が、残酷で重い運命に導くことになるとわ・・・二階堂優香は思わない。

ーつづくー