Highway of Night (Act. 11)

 千葉県のとある夢の国。人間より一回り大きいあのパンツ一丁のネズミが支配する遊園地(シマ)だ。そこの駐車場の入口をケイはゴールとし、インプレッサとフェラーリはレースをしていたが、「慣れ」より「スキル」の方の欠けが大きいゴリラが運転するフェラーリはストレートではパワーを出せてもコーナーの度に失速しまくりだった。それが決め手となりインプレッサは先にゴールに着いた。フェラーリが着いたのはその15分後である。既にケイだちは駐車場で待機していた。

アツコ:遅いぞ?
ゴリラ:だってぇ・・・
マイ:どんまい笑
ケイ:ゴリラ笑笑 ぢゃー行くぞー
マモル:おう

遊園地の中に入ると5人はゴリラとアツコの高校生活最後の青春を満喫した。かげがえのない大切な思い出となっただろう。





 帰りの首都高湾岸線のことである。今度はフェラーリにゴリラが運転でマモルが助手席にアツコが後部座席に乗り、インプレッサにはケイとマイが乗っていた。フェラーリの車内ではヒップホップ系の曲が大音量で流れていた。

ゴリラ:あいつらラブラブだな。
マモル:まぢリア充だわー笑
アツコ:うん・・・。

ゴリラとマモルは若干妬みが顔に出ているのに対し、アツコは悲しそうにしていた。一方、インプレッサの車内はシーンとしていた。ケイの趣味であるヒップホップも、点けるのも悪くないラジオでさえも流れていない。ケイは真っ直ぐに向いて運転しているがマイはケイの横顔を切なく眺めていた。

マイ:あのさ・・・。
ケイ:え。何?
マイ:・・・付き合わない?

ケイは突然の一言に驚き、危うく前を走っていたトランクのケツを掘りそうになった。

マイ:あぶな・・・そんな驚くたっていいぢゃん・・・。
ケイ:わりぃ・・・。
マイ:で・・・返事わ・・・?

ケイは驚くあまりに顔が死んでいた。

ケイ:・・・まぢで言ってんの?
マイ:まぢだよ!あたしわケイの事が好きなの!分かる!?

マイは今言った発言に後悔し、顔を赤くして窓の方に向けた。

ケイ:まぁ・・・いいけど?
マイ:ホント!?やったー!

車内は通夜からソーラン節へとムードが逆転した。冗談抜きのリア充誕生である。

マイ:えへへへー
ケイ:なんだ、テメェ。きも。

ケイは顔を赤くするが運転に集中する。

マイ:だってー、ねー

早速マイはアツコにLINEで自慢する。フェラーリの車内は一変して驚きの空気が流れた。

アツコ:マイがケイに告ったんだってー
マモルとゴリラ:えええええええ!?

ーつづくー