Highway of Night (Act. 9)

ムルシエラゴに怪しくゆっくりとインプレッサが近づいてくる。そのトランクが右へと幅寄せする。

組長:何をする気だ・・・。

徐々に道路の端へと導かれる。すると、ガリガリと擦れる音が鳴り響く。右の前輪が溝に嵌ってしまったのだ。速度は強引に殺される。左に曲がるコーナーが迫る。しかし、右に持っていかれ曲がりに逆らってしまい、ついには右の後輪までもが嵌ってしまう。もはや立て直す事は不可能。ムルシエラゴは完全に止まった。ケイとレンはレンの幼馴染ミカを助け出すレースという名の救出活動に成功したのである。
 ムルシエラゴの視点からインプレッサとS15のトランクが小さくなっていく。コックピットは殺気で渦巻いていた。

組長:いつか、殺してやる・・・。



 長尾峠を下りてすぐにある緑とオレンジのストライプのあのコンビニの駐車場で3人は溜まっていた。

ミカ:あの、ありがとうございました!
レン:オメェのおかげで助かったわ。ありがと。

2人はケイに向かって頭を下げた。ケイはカーボンボンネットに座りながら後頭部に手を当てた。

ケイ:照れくさいなー。笑
レン:あ、そうだ。LINE交換しようぜ。

レンはスマホを取り出す。

ケイ:おけー。

ケイもiPhoneを取り出す。そして互いにLINEを起動させ交換した。その時だ。何気にiPhoneのヘッダーに示されている時刻を見たら、この後の約束の時刻が迫っている事にケイは気づいた。

ケイ:あ、やっべ。

慌ててインプレッサに乗り込み、エンジンスタートさせる。

レン:どした?
ケイ:この後、ダチと遊ぶんだよ。
レン:まぢか。
ケイ:ああ、ぢゃーな!

そう言い残すと物凄い勢いで飛ばしてドリフトしまがら道路に侵入して消えていった。

ーつづくー