Highway of Night (Act.8)

 ハイエースに遅れて1台の黒塗りの車も高いエンジン音を鳴らしながらやって来る。ランボルギーニのムルシエラゴだ。おそらく組のお偉いさんだろう。ガルウイングが開くとチンピラやヤーサンがムルシエラゴの方に駆けつけ、整列する。
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「お疲れ様です!!」

皆同時に頭を60度の角度で下げる。ムルシエラゴの中からはシルバーのスーツをきちんとしっかりキメた眉毛のないツヤツヤしたオールバックの男が現れた。

「楽しみだなぁ、オイ。」

ムルシエラゴの男の一番近くに立っているヤーサンが答える。

「はい!」

ケイは窓を開けてレンに問う。

ケイ:あのムルシエラゴの奴わ誰なんだよ。」

レンも窓を開ける。

レン:組長だよ。
ケイ:は?なんでそんなのが来てんだよ。あのハイエースに乗ってるコが関係あんの?
レン:・・・ああ、あいつわ俺の幼馴染。家が組に借金してて人質で捕まったんだ。
ケイ:まぢか。
レン:んでミカを人質にこのバトルを企画された。
ケイ:・・・オメェわあの幼馴染を助けてーの?
レン:ああ、あいつわ俺の大事な人なんだよ・・・!でも負けたら手を出すって・・・。
ケイ:・・・そのミカっつーの?助けるぞ。
レン:は?
ケイ:バトルなんて無し。用わミカを助けれられればいいんだろ。さっさと終わらせよーぜ。
レン:まぢで言ってんの?
ケイ:殴り込みだ。

ケイはインプレッサから降りた。そしてハイエースの方へ向かう。チンピラはすぐにケイに反応した。

チンピラA:おいコラァ、何か用あんのk・・・

ケイは腹パンを喰らわせて一撃で黙らす。それに気付いた他のチンピラやヤーサンもすぐに反応し殴りに掛かってくるが、ケイは下手な殴りを避けてカウンター、続いて後ろから殴ろうとしてくるが、それよりも早いスピードで振り向きアッパーを喰らわす。チンピラ共を徐々に片付けていく。下手なチンピラなんて精々こんなものだ。そしてハイエースからミカを救出し、レンの乗るS15の助手席に突っ込む。

ケイ:さっさとヅラかるぞ!
レン:おう!

その時、S15のテールライトが割れた。組長が拳銃で発砲したのだ。

組長:テメェ調子乗んじゃねぇぞ。

眉毛がなくて表情のない細い目がこちらを睨む。ケイは思わずビビり、迷った。しかし、レンはS15をバックさせ、ボスに向けて反撃する。組長は避けようと横に転がる。その隙にS15は急発進する。ケイも急いでインプレッサに乗り込みS15に続く。一歩遅れた組長もムルシエラゴに乗り込み追う。

 長尾峠はクネクネしている。テクニックがなければ突破できない。無免許のレンが運転するS15はすぐに走り屋ケイのインプレッサに抜かされる。抜かされて後ろを走るS15を組長のムルシエラゴが狙う。テクニックも性能もムルシエラゴの方が上だ。すぐに距離を詰められる。組長はまたしても発砲する。S15のリアガラスがひび割れた。

ミカ:んぅぅぅぅぅ!!

まだガムテープで口を塞がれているミカが泣き叫ぶ。

レン:大丈夫、なんとかなる。

レンの一声でミカは落ち着きを取り戻す。しかし、S15は完全にロックオンされた。ケイはそれに気付きブレーキを踏みS15に近づく。
 ケイはクネクネしたコーナーを無免許のレンに合わせながらゆっくり抜けながら考えていた。どうすれば、ムルシエラゴの足を引っ張れるかを。長尾峠には道端に深い溝がある。下手に嵌ったらレッカー呼ぶしかなくなる。

ケイ:あ、これだわ。

ケイは閃いた。

ーつづくー