Highway of Night(Act.18)

 ポンコツ屋と契約が成立し、翌日小林のトラックで取りに行き、工場に運ぶことにしたケイとマイはケイのGDBFで地元箱根へと二階堂優香を連れて行く。向かったのは箱根峠のエネオス、ケイたちの溜まり場だ。そこには既にGTウイングにフルエアロに水色のネオンの白の458に黄昏るマモルと、蛍光色でライムグリーンのRAYSを履かせてR-magicのフルエアロを着けた黄色のFDの横に立つアツコ、ほぼノーマルのエボ3のタイヤの山をしゃがみながら見つめるゴリラが居た。ケイはエネオスの事務所
の前に停める。

ケイ:二階堂さん来たよー!
マモル:そのコが優香ちゃんかー。よろしくぅー!
アツコ:優ちゃん、よろしくねー♪
ゴリラ:同じ走り屋同志仲良くしようぜ!
二階堂優香:お友達もロクなのがいないわね。
マモル&アツコ&ゴリラ:・・・え?
ケイ:あちゃぁ・・・。

 新しいクラスになったばかりの時期で初対面のクラスメイトにいきなり馴れ馴れしくディスると、例えそれがジョークだとしても相手の第一印象は悪くなる。第一印象は短時間で簡単に変えられるものではないし、相手も得はしないと思い、関わることもない。二階堂優香は3人と仲良くしようと、などとは思ってないのだ。

マイ:ケイ、やっぱ連れて来たのわ間違いだったんぢゃない?
ケイ:・・・。

マモルは1回は黙ったが、開き直る。

マモル:なに?もしかして、ツンデレちゃん!?え、ちょい、可愛いぢゃん!?俺タイプだわー。
アツコ:ちょ、マモルいきなりチャラ過ぎ〜。優ちゃん悪い表情してるよー。
ゴリラ:そうだ!マモルは馴れ馴れしいんだよ!
マモル:そーゆーゴリラこそ、その顔だから優ちゃん気分悪くしたんぢゃねーの!?
アツコ:ウケる笑笑
マイ:それは笑笑
ケイ:笑笑
ゴリラ:優ちゃん、クールで真面目で本当はイイ奴そうだから、そんな事は思はないでしょ。ねぇ、優ちゃん?
二階堂優香:・・・。
アツコ:あぁ・・・ゴリラの言った通り、クールで基本的に無口、なのかな?
マイ:まぁまぁ。
マモル:なんか、プライドがある的な?
ケイ:・・・そーだな、それだわ。
店長:何だ?新しい友達か?

エネオスの店長、あだ名はそのまま「店長」。愛車は赤のR32で昔は神奈川県中に名前が知られたかなりの走り屋だったらしい。

アツコ:あ、店長。この娘わ二階堂優香ちゃん。
マモル:首都高でバトって知り合ったんだって。
ゴリラ:二階堂さんは事故って新しい車を作るのケイとマイが手伝ってるって。
ケイ:マイわ嫌ってるけどね笑
マイ:ホントだよ!ヤダこいつ。
店長:まぁまぁ、そういうのもいいじゃないか。
マイ:良くない!
マモル:まーとにかく仲良く、な?優香ちゃん?
二階堂優香:・・・そうね。よろしく。

しばらくエネオスで溜まってみるが、二階堂優香は居心地が悪くてすぐに飽きてしまった。

二階堂優香:もう、帰りたい。
アツコ:えー早くない?
ゴリラ:せっかくここまで来たんだし。
マモル:俺たち、「ダチ」だろ?

「ダチ」という言葉がさっき知り合ったばかりで自分の事なんて何も知らない口から出てきた。

二階堂優香:・・・帰る。
ケイ:お、おう。

シーンとした空気が流れる。二階堂優香をインプレッサに乗せてケイは運転席に乗る。マイは二階堂優香と同じ空間に居たくない為に残る。ケイは窓から顔を出す。

ケイ:ぢゃーね。
マモル:優香ちゃーん!またねー!
ゴリラ:じゃーな。
アツコ:バイバーイ!
マイ:いってらー。

手を振っているとインプレッサは走り去った。

マイ:チッ、あのブス・・・。
アツコ:話したら面白いかなーって思ったら変な空気作ってるし。
ゴリラ:何かあるのかな?
マイ:何か・・・障害とか?笑 それしかないでしょ。
アツコ:しょーがい笑笑 ウケる笑 あーゆーのわ一生施設で暮らせばいいのに。
マモル:どーせ、自分カワイイーとか思ってるパターンっしょ。あーゆーブスわ。
アツコ:あーわかるー笑
マイ:それだねー笑

店長は陰で二階堂優香を叩く4人が不快だった。しかし大人として何も言えずレジの椅子に座っていた。



 二階堂優香の自宅は横浜のみなとみらいに建つ高級マンションだ。家賃も月100万は払っているだろう。ケイはマンションのロータリーでインプレッサを停めた。

ケイ:オメェんちここ?
二階堂優香:ええ、有難う。
ケイ:また明日な。迎えに行くから。
二階堂優香:・・・また明日。

二階堂優香はドアを開けたら降りて開けたドアを閉める。そしてヒールの音を鳴らしながら振り返る事なく真っ直ぐロビーへ向かった。

ーつづくー